Climeworks社、Synhelion社、スイスイノベーションネットワークウエスト(EPFL)の専門家による、CO2の大気中からの直接回収や合成燃料技術についてのオンラインセッションが開催されます。事前登録受付中。
地球温暖化という差し迫った課題に世界が直面する今、スイスや日本などの先進国では、脱炭素や環境への取り組みがこれまで以上に求められています。両国は、2050年までに排出量をゼロにするという同様の目標を掲げています。
2050年の目標達成に向けては、排出量の削減に加えて、化石燃料からの転換やCO2直接回収技術の導入などが重要な要素となります。
研究開発における国際的な協力と交流は、スイスと日本のようなイノベーション大国にとって特に意味のあることです。今回のSWISSTECH in Japan 2021では、脱炭素化の最前線で活躍するスイスの革新的なスタートアップ企業2社を紹介します。Climeworks社は大気中の二酸化炭素を除去し、Synhelion社は二酸化炭素を輸送用の合成燃料に変える技術を有します。
また、クリーンテック分野の研究開発のプラットフォームとしてのスイスの利点についてもご紹介します。
18:00
開会のあいさつ
18:05
スイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)リニューアブルエネルギー材料研究所 ディレクター
アンドレアス・ツッテル教授
「スイスにおけるカーボンニュートラル経済の技術的、経済的インパクトについて」
長年にわたる化石燃料の使用により、石油資源の枯渇、CO2排出による地球温暖化など、私たちは大きな問題を抱えており、化石エネルギーから、再生可能エネルギーへ急激な変化を求められている。スイスは100年前からCO2フリーな電力をメインに生産してきたユニークな国である。現在取り組んでいる再生可能型エネルギー社会のチャレンジは、電力の貯蔵とモビリティへの対応である。これを解決するためには、エコシステムの見直し、技術的課題の克服、経済的メリットなどの点から検証が必要だ。どのようにすればエネルギーの変換、保存が可能になるのか。またそれらがエコシステムに受け入れられ、技術的に解決され、経済的に見合うようになり、化石燃料を使わないで済むようになるにはどうすればよいのかを解説する。
18:20
Synhelion社
CEO兼共同設立者 ジャンルカ・アンブロセッティ博士
「空気と太陽光を燃料に変える」
Synhelionは、空気と太陽光を燃料に変える画期的な手法を開発した。スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)スピンオフである同社の技術は、太陽光を凝縮することにより、クリーンなジェット燃料、ガソリン、ディーゼル燃料などを人工的に作り出すことを可能にする。同社CEOアンブロセッティ博士が、現在の技術開発段階、製品市場化のロードマップ、そして液体炭化水素の将来にわたっての重要性を説明する。
18:35
Climeworks社
チーフコマーシャルオフィサー ダニエル・エッガー氏
「スイス発CO2直接回収技術:その特徴と日本での可能性について」
パリ協定により定められた「ネット・ゼロ」に向けて、企業、政府の取り組みが本格化してきた。それを実現するためには、CO2の排出を最小限に抑えることはもちろん、その不可避だった排出を取り除くことが必要だ。同社は、大気中からCO2を直接取り込む技術を開発した。アイルランドに建設されたオルカプラントでは、理論上年間4,000トンの空気中のCO2を直接回収し、永久的、かつ安全に石化して地中に埋め込むことが可能だ。
18:50
閉会のことば
クライムワークス社は、企業の気候変動に対する数値目標を実現するため大気中からCO2を直接回収し、永久的に除去する。彼らの技術が可能にすることは、CO2を地中に戻し、安全に、永久的に貯蔵すること、またはCO2をアップサイクルし、炭素フリーな燃料などに変換すること。当社の製品はクリーンな燃料で動作し、モジュール式なので大型から小型まで様々なサイズにすることが可能。。エンジニアのクリストフ・ゲバルド氏、ヤン・ウルツバッハ氏の二人によって創業され、人類共通の課題であるCO2除去の問題に真っ向から取り組んでいる。
講演者のダニエル・エッガー氏は、同社のチーフ・コマーシャル・オフィサーとして、同社の多くのプロジェクトに参画。ETHの工学エンジニアリング修士号(MSc)を取得。品質管理、製品・行程開発、マーケティングなどに幅広い経験を持つ。
シンヘリオン社は、2016年、ETHにて設立された太陽光燃料の世界的なパイオニア。同社は、高温の太陽熱を使用し、CO2と水を原料にガソリン、ジェット燃料などの代替合成燃料を製造する技術を開発。完全にサステーナブルで、クリーンなモビリティを保証する代替燃料への扉を開ける先駆者として注目を集めている。
>講演者のジャンルカ・アンブロセッティ博士は、同社の創業者・CEO。EPFLにて物理学・ナノテクノロジーでPhDを取得。卒業後、太陽電力、発電のプロジェクトに参画、Dsolar・マネージングディレクター、Airlight Energy・研究長を務め、同社を創業。
講演者のアンドレアス・ツッテル教授は、EPFLリニューアブルエネルギー材料研究所にてディレクターを務めているスイスのカーボンニュートラル経済の第一人者。
スイス・イノベーション・パーク・ウエスト・EPFLは、革新的な技術を生み出す連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)を土台にイノベーティブな国際連携を推進する。同パークはスイスの研究開発の中心地で全国に6か所ある「Switzerland Innovation Park」の一つ。次世代へ繋ぐゲームチェンジを起こす技術の開発を目指す。スイスは、世界経済フォーラムなどにより、世界で最もイノベーションが進んでいる国の一つとして評価されており、同パークはその中心的存在。高レベルな人材、最新設備が整っている研究所、進取的な土壌が特徴となっている。